今回は、「ベクトル」「複素数平面」
の2つの分野についてお話ししたいと思います。
これらの分野も、好き嫌いがクッキリ分かれますね。
現行の課程では
ベクトルは数B、複素数平面は数Ⅲ
で履修することになっていますが、
僕が習った頃(旧々課程)はどちらも数Bでした。
つまり、文理関係なくやってたんですねぇ。
(もっと言うと複素数平面もセンターに出てた)
ですから、この分野が苦手な人(僕もその一人でした)は
数Bの教科書を切り刻んで燃やしてしまいたかったことでしょうね。
とりあえず、ベクトルについてお話ししていきます。
この分野を習い始めるときは、
今まで習った分野(数Ⅰ・A・Ⅱ)とは余りに雰囲気が違いすぎて
苦手な人はまずここで躓きます。
「矢印ってなんだよ」
「ベクトルを足すのはまだしも、引くってなんだよ」
「内積ってなんだよ」
「位置ベクトルって点じゃないの?」
教科書が悪いわけではないんですが、
教科書に書いてある文章だけですべてを理解するのは
ちょっと難しいかもですね。
ということで、「ベクトル」という分野を理解するためにはまず
① 定義をしっかりとおさえること
ですね。
ベクトルとは何か
2つのベクトルが等しいとはどういうことか
ベクトルの和・差とは何か
零と零ベクトルは何が違うか
内積とは何か
位置ベクトルとは何か
などです。
改めて聞かれると辛いですよね。
一度教科書に目を通しておきましょう。
次に
② 図形的状況をベクトルの式で表せるようにすること
です。
ベクトルという分野では、
図の状況がよく分かっていなくても
計算により把握することができます。
計算結果によって図が描けるのです。
これは非常に画期的なことで、
極端な話、図を描くのが苦手な人でも問題が解決するのです。
逆に言えば、この図形的状況を式に表すとどうなるか
また、この条件式はどんな図を表しているか
が分かっていなければ意味がないわけです。
僕はこれをいつも
「ベクトル語と日本語の翻訳」
と言っています。
この双方の言語への翻訳が出来る必要があります。
具体的には
「ベクトルaとベクトルbが垂直」(日本語)
⇔「零ベクトルでないベクトルaとベクトルbの内積が0」(ベクトル語)
「3点A、B、Cが同一直線上にある」(日本語)
⇔「ベクトルABはベクトルACの実数倍」(ベクトル語)
などのことです。
他にもありますが、
そんなに数は多くないので完全に使いこなしてください。
最後に
③ ベクトルの世界にどっぷり浸かること
です。
最後にえらい抽象的なものを持ってきましたが、
これ、すごく大事ですよね。
結局①や②の話も含んでいるんですが、
もっと肌でベクトルを感じてほしいという意味合いです。
「生理的に受け付けんのに肌なんか密着できるか!」
と言われそうですが、まぁそう言わんと。
よく質問されるんですが、
「なんでこの条件からこの式が出てくるんですか?」
「なんでこういう式変形が思い浮かぶんですか?」
こういうのって正直、
ベクトルという世界に何回も来たことがあるか
ベクトル界の常識を知っているか
みたいなとこなんです。
その世界に精通していれば、自然と出てくるんです。
つまり、慣れですね。
1周や2周では足りません。
「ベクトル」を5周も6周もしてください。
すればするほど慣れてきます。
そういう頭になります。
ということで、
① 定義をしっかりとおさえること
② 図形的状況をベクトルの式で表せるようにすること
③ ベクトルの世界にどっぷり浸かること
この3つを徹底してください。
これは、「ベクトル」をそのまま「複素数平面」に
置き換えても成立します。