お金2.0 新しい経済のルールと生き方
幻冬舎(2017/11/30)
佐藤航陽
なかなか奇抜なタイトルですが,
お金儲けのための本でも
自己啓発的な本でもありません。
とはいえ,
タイトルに目がいって
本書を手にしたのは間違いありませんが(笑)
この本は,
これまでの経済の仕組みと
今現在,変わりつつある経済の仕組みを比較し,
それに伴いお金のあり方が
大きく変わってきていることを
分かりやすく説明しています。
資本主義から価値主義へ
個人的に非常に印象的だった箇所を
一部抜粋して紹介します。
「世の中で使われている価値
という言葉は3つに分類されます。
それは
①有用性としての価値
②内面的な価値
③社会的な価値
の3つです。」
これまでの資本主義は,
①以外は無価値としてきました。
(①の例は,
会社の売上とか不動産とか,
もちろんお金も,
言わば現実世界で
「役に立つもの」)
しかし,実際には②や③にも
人間は価値を見出します。
(②は,人間の内面的な感情
(愛情・共感・好意・信頼など)
のことで,
③は,慈善活動やNPOのような
社会全体の持続性を
高めるような活動などのこと)
そして,
インターネットが普及した
現在の社会では
②や③の価値が
可視化されやすくなっていて,
分かりやすいところでいくと
YouTubeでいうと「視聴回数」
Twitterでいうと「いいね」
クラウドファンディングでいうと
集まる金額
などです。
そのような
様々な人からの「支持」が,
あらゆる活動を可能にし,
そしてビジネス化していくわけです。
これにより,
営利と非営利の境界線がなくなり,
経済と政治の境界線もなくなっていく
と筆者は述べています。
何かの本で
「これからは商品を売るのではなく
共感を売る」
と書いてありましたが,
これはこの本でいうところの
①ではなく
②や③の価値を大事にしていく
ということなのかなと思いました。
ますますやりたいことが出来る
この本を読んでほっとしたのは,
「あぁ,自分が何か
『これだ!』と思えることがあれば,
どんどん突き進んでもいいんだ」
と思えた事です。
よく,
「世の中キレイゴトだけでは
済まないんだ!」
とか言うおっさんがいますが,
確かにこれまでは,その発言に
一定の意味はあったように思います。
どうあっても
人間食っていかないといけませんからね。
しかし,これからは 「面白そうだから」とか
「誰かの役に立てれば」とか思う人も
簡単に行動に移せる世の中が来て,
「Win-Win」なことであれば
何でも出来る世の中に
なるのかもしれません。